4年間の課程を3年で終了し、大澤は1933年6月にボストン大学を卒業する。その前の半年間は「怒涛の創作」という勢いで、質の高い演奏会用作品が大量に作曲された。本作品はそのうちの一つで、3楽章構成。演奏時間30分を超す室内楽ジャンルにおける大作である。第3楽章には弦楽器の胴体を手でたたく、当時の「特殊奏法」が指示されている。本邦初演はおそらく2006年の「大澤壽人と室内楽」における、マイハート弦楽四重奏と＆藤井由美のピアノによる演奏と思われる。

「大澤壽人の室内楽」マイハート弦楽四重奏団 I E-3003